掌編小説(140字)@単行本『ぼくと初音の夏休み』『ごめん。私、頑張れなかった。』発売さんのプロフィール画像

掌編小説(140字)@単行本『ぼくと初音の夏休み』『ごめん。私、頑張れなかった。』発売さんのイラストまとめ


本業は別分野の物書きです。140字小説集『ごめん。私、頑張れなかった。』(リベラル社)、長編『ぼくと初音の夏休み』(扶桑社)、縦読み漫画(原案)『とある溺愛のカタチ~掌編小説アンソロジー~』(ブックリスタスタジオWebほか各種サイトで配信)。リンクは固定ツイートご参照。創作系のお仕事はDM下さい。
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クリスマス、オタクの男子をうちに招く。大学で、腐女子の私と唯一気の合う友だちだ。手料理を振る舞って、彼が持参してきたお酒をあおり「リア充どもめ、爆発しろ!」と呪詛を吐く。2人とも酔っ払い、雑魚寝しながら手を握る。君に感謝だ。なあ同志、リア充たちは今頃どんな聖夜を過ごしてるのかな?

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「みんなクリスマスで浮ついちゃって」。腐女子の女友達が吐き捨てた。大学の同級生。わかるぞ、俺もオタクだしな。「ね、当日、料理作るから、夜通しリア充たちを呪わない?」。それ乗った。お酒とケーキ持参でお前の家にお邪魔するよ。ところでさ、リア充どもは、聖夜をどんなふうに過ごすんだろう?

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「あなたに合わせすぎてくたびれた」。交際2年の恋人に振られた。ほどなく高校の同級生に告白される。今は彼女が大好きだ。放課後に寄り道した百貨店。僕の好きな藍色のマフラーに目が留まる。お前に似合うと思う。彼女に告げると、曖昧に笑われた。そういえば、元カノの最近の装いは、なぜか暖色系。

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中学からもう3年も幼なじみに片想い。すぐ別れたらしいけど、彼女は以前、先輩と交際していた。どこまで経験済みなのかな……。好きな子ができたと偽って、キスの仕方を訊いてみる。「いいよ、教えてあげる」。たじろぐ僕の唇を、彼女が塞ぐ。慣れているはずなのに、その唇は初めてみたいに震えてた。

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「今年こそ好きな人とクリスマスを過ごしたい」と彼女が呟く。同感だね、と僕は応じる。中高一緒の女友達。「もう勇気を出すよ」。そう言って彼女は先輩に告白し、失恋した。涙ぐむ彼女を慰める。「で、あんたは片想いの誰かに打ち明けないの?」。……少し狡い気もするけれど、僕は今から勇気を奮う。

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「お互いぼっちの聖夜を回避しよう」。中高一緒の男友達と励ましあう。彼には好きな誰かがいて、私にも片想いの先輩がいる。背を押され、一足先に告ったけど、拒まれた。これでぼっち確定だ。半べそかいてる私のことを彼が慰める。ねえ、あんたは避けられた? 「どうだろう。あとは君次第なんだけど」

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高校の先輩と交際半年。仲いい姉と同学年だ。友だちだよね、と姉に訊くと「よく知らない」。先輩に尋ねても同じだ。ある日、彼がスマホの暗証番号を間違える。正しくは私の誕生日。そっか、2人は以前そうだったんだ。先輩、その時の恋人の数字使うのやめて下さい……。誤入力したのは姉の生まれた日。

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「今日、俺の誕生日」。元カレから朝にLINEがあった。だから何よ。1年前、振ったの君でしょう? 誰にも言わず交際し、高2でクラスが別になった。もう昔みたいな想いはない。今は後ろめたくて記憶を消したい。登校前、一つ下の妹が無邪気に笑い、手作り菓子を鞄に入れた。「誕生日の彼氏に渡すんだ」

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「またか」。幼なじみの彼が呆れる。大学の先輩に告白され、応じたもののすぐ別れた。高校以来6人目。気まずくなると、先手を打つのが習い性になってしまった。「悪い奴だな。もっと慎重につきあえよ」。変わらぬ優しさも重罪だ。振られることに臆病なのは誰のせい? 7人前の初恋相手を睨みつける。

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娘がまた恋人を袖にした。高校以来6人目。多分最初に振られた幼なじみを引きずってる。交際相手に悪いから、大人しくしていなさい。「ママにだけは言われたくない」。未練がましく、大学生でも反抗期。一体誰に似たのかな。「お前じゃない?」。学生時代、元サヤを許してくれた、幼なじみの夫が笑う。

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