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昼休み、彼がまたラノベを読んでいる。高校の同級生で部活も一緒。題名を盗み見て、内緒で先に読了した。気弱な男子が、ツンデレ美女に想われて、世話を焼かれる内容だ。主人公にヘタレの自分を重ねてるんだね。おとぎ話に夢中になって、馬鹿みたい。仕方ない。馬鹿が治るまで、惚れた私が面倒見るよ。
後輩と大学で再会した。高校時代、彼女は僕によく懐き、交際してると噂された。僕はあえて否定せず、失恋した彼女を慰めた。大学で後輩は二度目の恋をする。ごめん、今度は応援できない。同学年のあの子とは、卒業後に結婚しようと約束してる。「……知ってます」。涙を流す後輩は、同性しか愛せない。
事故死した夫の葬儀で美しい女性を見る。この子なんだ、とすぐ気づく。不倫を確信したのは2年前。言い出せず、心を取り戻したくて尽くしてきた。若い彼女は快活で、自由そうだ。私は努力の仕方を間違えたんだ、と今さら気づく。涙を拭う彼女を見つめ、ぼんやり思う。あなたより、夫のことが許せない。
高校の後輩に惹かれてる。彼女も多分、僕を好きだ。告ろうと思うたび、元カノを思い出す。あんなに好きだと言ってくれたのに、終わりは本当に急だった。お前は妹みたいな存在なんだ、と後輩に嘘をつく。「私は少し違います」。ごめん。僕に勇気が戻るまで、終わらない「兄妹」のまま、いさせてほしい。
「本当に先輩を好きなのかな?」。大学の後輩が首を傾げた。恋人とは交際3年。姉御肌で、まるで僕は弟だ。以前、小さな浮気がバレた時、苦笑いだけで許された。「今度は私に手を出した、で試してみては?」。頷く僕は「弟」になりたい訳じゃない。嫉妬すらしてくれないのなら、もう「姉」を手放そう。
高校から交際5年。また彼が浮気した。「彼女さんが悲しみます、と相手に泣かれた」。そう言って頭を掻く。懲りないねえ、と私は笑い、彼をハグをした。「戻る場所は泣かないお前だ」。ふうんと頷き、見えないように涙を拭う。大好きな君は二つ間違ってる。私は泣くよ。いつまでも戻れる場所でもない。
深夜、遠距離の彼女と長電話。もっと話したいけれど、彼女はまだ高校生。大学生の僕とは違い、早起きしなきゃならないだろう。通話を終えて、幸福感を抑えきれず、SNSに「彼女が可愛すぎる」と投稿する。「ひゅーひゅー。その子も絶対幸せだ」。電話帳と同じ猫のアイコンが、しれっと僕を冷やかした。
「電話の彼女が可愛すぎる」。深夜、SNSで犬のアイコンが呟いた。すかさずフォロワーが「惚気」「熱い」と反応してる。毎回一言だけだから、誰が相手かまでは分からない。ただその呟きは、私の心を温める。良かったね、幸せで。「ひゅーひゅー」。2時間喋ったスマホから、今度はしれっとリプを書く。
高3の先輩に告白した。元カノは全員後輩だ。男だし学年上だし、弱音も吐けず無理をした。先輩は僕を上手にリードして、甘えてくれるし甘えさせてくれる。「君が愛おしくて受験勉強が手につかないや」と笑われた。先輩そこは頑張りましょう。落ちたら僕も困ります。もう少し「後輩」でいさせて下さい。
会社の先輩に求婚された。好きだけど、大学時代の元カレも忘れられない。迷っていると、久しぶりにメールが届く。「嫁さん臨月。パパになる」。一昨年、彼は知らない誰かと結ばれた。青春はとっくに終わってたんだね。一晩泣いて、先輩に頷いた。あれから3年。私は彼に、臨月なんだ、とメールを送る。