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市販薬で誤魔化して、痛みを堪え仕事を続ける。婦人科にかかった時には手遅れで、余命半年を告げらた。独身の30歳。主任として初めての部下が気にかかる。何かを残せる子どもはいない。その代わり、新人の彼に私の全てを教えよう。たった一つ、年の差に怖気づき、伝えられないこの恋心だけは別にして。
僕は不出来な新人だった。休日出勤していると、女性上司が現れる。7歳上の厳しい主任。朝まで手助けしてくれて、「期待してる」と荷物を抱え立ち去った。翌日から休職し、半年後に病死する。あれから7年。昨日、僕に主任の内示が出た。先輩に思いを馳せる。憧れでした。上司としても、女性としても。
彼と別れた。もう平気だと思い込んでた半年目。彼が、よく似た男の子を連れてる夢を見る。大学生活はもうすぐ終わる。遠からず、夢は現実になるかもしれない。こんなの嫌だ。封じ込めてた未練に気づき、夢の中身をメールで送る。もう手遅れかな……。握り締めた携帯が、その時小さな着信音を響かせた。
古い携帯が見つかった。「夢を見た。あなたが、よく似た男の子と手を繋いでるの」。大学時代、別れて半年の元カノから届いたメールだ。今さらだけどなぜだろう。「パパとやり直したかったんでしょ?」。小6の娘が覗き込む。違う未来になったけどね。最近、ますます彼女に似てきた娘の小さな手を握る。
大学で出会った頃、彼女はよく泣いていた。家族と不仲で、ピアノの夢を諦めて、何度も就活に失敗した。やがてウチに転がり込む。明日、彼女が家を出る。「もう一度、やりたいこと探してみる」。そう言って涙を流す。兄みたいな気持ちで10年間支えてきた。泣くな、頑張れ。次こそ愛する人も見つけろよ。
気づくと高2のクリスマスまで3か月。何度か匂わせてみたけれど、彼にはまるで気持ちが伝わらない。学園祭で燃え尽きて「楽しいことが全部終わった」とぼやいてる。たくさんあるよ、この先も。鈍い男子に惚れたのは、自己責任か。腹を括って彼に向く。あのさ、私、君と始めたいことがあるんだけれど。
大学の先輩に一目ぼれ。年下とばかりとつきあってきたから、彼女との距離の縮め方がわからない。恐る恐る「姉ちゃん」と呼んでみる。「私は君の姉じゃありません」とたしなめられた。だったら俺を「弟」みたいに扱うなよ。ね、先輩。「さん付け」で下の名前を呼んだなら、気持ちに気づいてくれますか?
幼なじみが台風の夜に自宅で一人。「様子見てきなよ」と母が言う。俺ら高2。園児じゃないぜ。「ご両親不在で、女の子一人じゃ危ないでしょ?」。断られるのを前提にLINEを打つ。「来てほしい」と勝気な彼女の思わぬ返事。お前まで能天気かよ。危険なの、俺のほうだぞ。思わず好きだと打ち明けそうで。
「あの子、知り合いなんですか?」。高校の後輩が僕に訊く。部活の備品を買いに出た繁華街。女友達が制服の女子と歩いていた。中学時代、同じ悩みを語り合った。よかったな、お前は自分の指向に従えたんだ。「綺麗な人。少し妬けます」。俯く後輩に心で詫びる。言えずにごめんな。僕は異性を愛せない。
大学の男友達と飲み会の三次会。2人とも、したたか酔って明け透けだ。処女なんて面倒くさいと思うけど、なんで男は処女好きなのよ? 「全く同感。気が合うな」。私たち、いっそつきあっちゃおうか? 「おお、いいね」。思わぬ急展開に酔いがさめる。……あの、私、面倒くさい女なんだけど、大丈夫?