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「体育祭の徒競走で1位になったらつき合って」。美術部の同級生に告られた。私はずっと片思い。でも、彼にその気があるとは思えなかった。いいのそれで、本当に? 彼は俯き黙り込む。やっぱり冗談だったんだね。切ない思いを笑いで隠した私に向かい、彼が言う。「3位以内に変更してもいいですか?」
「もう会わない」。終わった後、彼女は一瞬涙ぐみ、笑顔を向けて呟いた。別の子に失恋し、女友達にもたれてしまう。服を着て、振り返りもせず彼女は部屋を出て行った。恋人をなくし、友だちも失った。そこで気づく。失恋の痛みは鋭いけれど癒えそうで、親友を失う痛みは鈍くて深く、尾を引きそうだと。
「GW大変だった」。登校すると、隣の女子が机に突っ伏した。家族旅行で渋滞にでも巻き込まれたんだろう。それとも誰かとデートとか? 彼女を想い、悶々と連休を過ごしてた。頭を机に乗せたまま、僕に笑顔を向けている。全く人の気持ちも知らないで。何が大変だったのさ? 「あなたが隣にいないこと」
天邪鬼の自分が嫌になる。ずっとそうだ。好きな男子に素直になれず、つい憎まれ口を叩いてしまう。結局、大学2年のGWも無駄に過ごした。お昼時、一人でカフェに足を運ぶと、片思いの彼がパスタを食べていた。いい加減に勇気を出そう。彼の前に腰を下ろす。お互いぼっち飯なら、2人で食事しませんか?
大学近くのカフェでランチする。「ぼっち飯」。顔を上げると女友達が笑ってた。美人なのに皮肉屋で、何かと俺に絡んでくる。GWなのに、お前こそ1人じゃねえか。「そうでもないよ」。へえ。大方、彼氏と待ち合わせでもしてるんだろう。クスっと笑った彼女が前に座る。「これで2人飯になるじゃない?」
「デートじゃなくて暇潰しだからね」。幼なじみが念押しした。ぼっちにGWはしんどいな。そう呟くと「仕方ない」と彼女が遊園地に誘ってくれた。とはいえ上から目線は気に入らない。お前も17年間、彼氏なしだろ。「私は臆病だから告らないだけなんだ」。奇遇だな。独りの理由、俺と全く同じじゃないか。
交際相手に別れを告げた。高校で知り合った僕の最初の恋人だ。デートもキスも初めてだった。なのに、どうしようもなくほかの女子に惹かれてしまう。新しい彼女との初のデートで僕は気づく。デートの作法を学んだのも元カノだった。昔よく来た水族館で、彼女と腕を組みながら、元カノのことを思い出す。
高校の昼休み、同級生の男子に踊り場へと連れ出された。「ブレザー着ろよ」。何言ってんのよ。ぽかぽかのYシャツ日和じゃない。「周りに毒だ」。そりゃ風邪でもひけば迷惑かけるけど、毒ってのは言い過ぎでしょう。君はいいヤツだけど、真面目過ぎるの玉に瑕だね。「……下着が透けて、目に毒なんだ」
本名も知らない男の子に恋をした。Twitterで愚痴をこぼすと、すかさず慰めてくれる。多分同じ高校生。彼の想いがわからずに、私はアカウントを消すと宣言する。「戻ってきてな」。その呟きが本音であれば、きっと私に気づいてくれる。1か月後、名前もアイコンも変えた私は、彼をそっとフォローする。
「お前、初めてだったんだ」。終わった後、彼は呟き、私を抱き締めた。うん、そうだ。大学までに2人と交際したけれど、夜を過ごしたのは最初だよ。あなたは随分上手だったね。「大事にする」と囁く彼に、私は曖昧に微笑んだ。最初より、ずっと気がかりなことがある。私はあなたの最後になれるのかな。