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演劇部の可愛い後輩が、映研に映画のヒロインを頼まれた。「あまり気乗りしなくって」。脚本をめくってみると、濃厚な抱擁シーン。相手の主演は誰なのよ? 「映研部長が監督兼主演だそうです」。幼なじみのあいつがいかにもやりそうだ。ため息をつきながら、仕方がない、代わってあげると私は告げる。
先輩に告白された。高校の二つ上。躊躇いつつも私は頷く。半年後、彼は車の事故に巻き込まれた。「ごめんな、お前の気持ち気づいてたのに」。最期に呟き旅立った。先輩の弟が「焦らず思い出にしていけよ」と慰める。これは罰だ。頷いた本当の理由、近づきたかった好きな人。涙ぐみ、弟のことを諦める。
自宅近くの公園で、高校の後輩が夏の雨に濡れてた。連れ帰り、タオルを渡しシャツを貸す。「……お兄さんの匂いがします」。半年前、恋人だった兄を亡くした。部屋の床に並んで座り、涙ぐむ彼女の小さな肩を抱く。なあ兄貴。もう少し俺は堪える。でも彼女に笑みが戻ったら、告白すること許してほしい。
大学の同級生とつきあった。初めての恋人が愛おしく、僕は彼女の部屋に転がり込む。日常のすべてを共有できる幸福感。昨夜も重なり、僕が先に眠りに落ちた。目覚めると、裸の彼女が隣で寝ている。朝焼けが照らす寝顔を見つめ、永遠に続けばいいな、と僕は思う。改めて心に誓う。卒業したら求婚しよう。
初めての交際相手が彼だった。大学の同級生。彼も私が初めてで、すぐ半同棲が始まった。甘やかな幸福は、けれど次第に色褪せる。会話も添い寝も日常だ。もう胸が高鳴らない。恋に恋していたのだろう。終えた後、彼が隣で寝息をたててる。月明りが照らす寝顔を眺めながら、裸の私は別れ時を探っている。
両親と折り合わず、大卒後、実家を飛び出す。仕事は続かず、服薬し、寝たきりだ。元カレを思い出す。高校時代の10年前、私は何度か手首を切った。その都度私を支え、けれどやがて支えきれずに立ち去った。私の短い宝の季節。最期に悔やむ。こうして飢えて死ぬのなら、あの時、自傷しなきゃよかったな。
高校時代、彼女は何度か手首を切った。僕はその都度、抱き締める。見捨てない。そう約束したけれど、やがて僕は疲れ切り、距離をおいた。あれから10年。久々に彼女の笑顔を見る。あの時、手を放すべきではなかったんだな……。夏空に白い煙が立ち上る。独居の家で孤独死していた、彼女の遺影に涙ぐむ。
「好きです」。教え子に打ち明けられた。放課後の音楽室。たしなめて、泣かれた姿を生徒に見られ、噂になった。もし5年遅れで告白されたら、僕はどうしていただろう。高校を追われて10年。駅構内のストリートピアノで、あの時と同じショパンを奏でる。まだ鮮やかに覚えている。淡く惹かれた制服姿を。
駅構内でショパンが聴こえる。10年前の高校時代、恋をした音楽教師が、放課後に弾いてくれた。一方的に告白し、学校中の噂になる。先生は教師を辞めた。ストリートピアノを耳にして、初恋が蘇る。少し疲れた奏者の背中に、大好きな曲なんですと声をかけた。「僕もです」。懐かしい笑顔が私に振り向く。
告白された。ずっと片想いしてた高校の先輩だ。うちの父母は仲が悪い。昔見た結婚式の写真では、2人とも幸せそうに笑ってた。不仲になったの、一人娘の私のせいかな……。先輩を大好きだ。でも遠い未来に身籠れば、こんな想いも霞むのだろうか。先輩が返事を待っている。私は躊躇し、YESと言えない。