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春まで半年、バイトをしてた。高3の男の子の家庭教師。告白され、5歳差で「先生」だからと断った。同じ大学に進んだその子と学内ですれ違う。「俺を振るんだ。理由にならない理由はやめて、年下と幸せにな」。先生、本当にごめんなさい。五つ上で助教の彼が、大学院の研究室で最後に私を抱き締める。
高3の半年間、彼女は僕の家庭教師だった。同じ大学に合格後、想いを告げたが「私、院生で五つ上だよ? それに君の『先生』だ」とかわされた。春の夜、研究室に明かりがついてる。気になって、窓から中を覗き見た。先生、ダブスタは駄目ですよ……。白衣の彼女が、年上の男性助教に抱き締められてる。
8年前のデビューから彼女を推した。所属のアイドルグループは、メンバーが交代し、若い美少女ばかりになった。彼女が引退を発表する。ネットで予想外に報じられた。花束を持ち最後のライブに足を運ぶ。目立たぬ彼女が好きだった。僕だけのものだと思えたからだ。でも違った。僕は次の推しを物色する。
勤務先のテレビ局でADに昇格する。久々に帰省すると、パパはとても喜んだ。幼い頃に事故でママを亡くしてる。パパは役者の夢を諦めて、独り私を育ててくれた。「お前の成長こそが俺の夢」。笑うパパが、密かに戯曲を読んでることを知っている。あのねパパ。エキストラのキャスティング、任されたんだ。
同じ役者の卵の妻と結ばれ、娘を授かる。直後に妻は事故で死に、俺は小さな本屋に就職した。片親は大変で、でも25年は一瞬だった。娘はテレビ局に職を得て、素敵な彼もできたらしい。「私がパパに夢を諦めさせたね」。帰省した娘が呟く。ADになったそうだ。違うぞ。お前が立派に育つことこそ俺の夢だ。
また夫に殴られた。外出を禁じられ、自室でSNSに嘆きを綴る。5年前の学生時代、元カレと同棲してた。のちの夫とバイトで出会い、悩みを話すと「俺んち来いよ」と優しく言われた。私は黙って家を飛び出す。自分の見る目が恨めしい。卒業後すぐ結ばれた結婚相手はDV夫に変貌した。元カレとおんなじだ。
間違いない、元カノだ。匿名のSNSで「昨夜も夫に殴られた」と綴ってる。痣の写真も添えていた。腕の小さなほくろを忘れない。学生時代に同棲し、ある日突然姿を消した。あれから5年。DV夫と結ばれてたのか。また運命に導かれた。今どこ? なあどこ!? 愛してる。助けるよ。フォローしてリプを書く。
4年前、小4の時だった。早く目が覚め、ママ朝ご飯、と寝室に呼びに行く。父に寄り添い、母が寝ていた。布団から白い肩がのぞいてる。父も半裸だ。声をかけずに部屋を出る。意味は分からず、ただイケナイものを見た気がした。僕はママと呼ぶのをやめる。ママだけど女なんだ。別に愛する男がいるんだ。
中2の息子が家に彼女を連れてきた。小さく生まれ、食は細く、歩き出すのも遅かった。小学校中学年まで「ママママ」とまとわりつかれた。「部屋で勉強。お袋、絶対入るなよ」。わかったよ、と笑顔を返し、居間で一人涙ぐむ。泣くな自分、成長だ。可愛かった一人息子が、男の子から少年に変わっていく。
「高校時代、不登校?」。私の家で、卒アルをめくりながら彼が首を捻ってる。私を見つけられないらしい。いや拗らせた腐女子だったけど通ってた。私服だからわかりにくいけど、ラブな写真が載ってるよ。「このカップルの右の女子は違うしな……」。その子はね、憧れていた同級生。左が男装姿の私です。