掌編小説(140字)@単行本『ぼくと初音の夏休み』『ごめん。私、頑張れなかった。』発売さんのプロフィール画像

掌編小説(140字)@単行本『ぼくと初音の夏休み』『ごめん。私、頑張れなかった。』発売さんのイラストまとめ


本業は別分野の物書きです。140字小説集『ごめん。私、頑張れなかった。』(リベラル社)、長編『ぼくと初音の夏休み』(扶桑社)、縦読み漫画(原案)『とある溺愛のカタチ~掌編小説アンソロジー~』(ブックリスタスタジオWebほか各種サイトで配信)。リンクは固定ツイートご参照。創作系のお仕事はDM下さい。
novelup.plus/my/profile

フォロー数:10916 フォロワー数:14706

別れた妻と偶然出会った。昔2人で通ったバー。「久しぶりね」と彼女が笑う。大学卒業直後に結婚した。ともに新社会人でゆとりがなく、2年間で破綻した。あれから7年。「私もいろいろ経験し、忙しいけどコツを掴んだ」。一緒だよ。会話は尽きず、今ならば、と僕は囁く。なあ、俺たちやり直さないか?

35 251

https://t.co/yyaqrMG4TU
ノベプラに投稿してから1か月の結果です。1万字の短編『のり弁を配達する』😇
ジャンル:日間26位、週間10位、月間4位、年間34位

コロナ禍があけた夏、タワマンと旧市街が混在する街。ヒロインの中学生は、家業の弁当屋の手伝いで、のり弁を届けに行く――。
※リンクは上です

13 38

「私が疵を抱えた美少女? 優等生の仮面をかぶり窮屈してる?」。高校帰り、同級生が苦笑した。「そんな女子、創作だけの妄想だよ」。やっぱりそうか。現実は物語みたいに易しくない。一人になって思い返す。笑ったつもりの表情は、厚い仮面で笑顔に見えない。諦めず、また話そう。僕は君を救いたい。

28 208

「本当は窮屈なんだろ」。高校帰り、公園で話しかけられる。クラスの男子だ。「優等生で美人の仮面、疲れるよな」。嫌だなあ、物語の読みすぎだよ。「疵を抱えた美少女」なんて妄想の産物だから。立ち去る背を見て考える。妄想してるの私の方だ。それでも君を救うと食い下がる、孤高の誰かを探してる。

36 239

死にたい――。元カレにLINEが届く。今カノからだ。彼女に彼を奪われ私は病んだ。さっき全く同じLINEを送り、彼は私の部屋に駆けつけた。ねえ、また今カノに戻っちゃうの? 「もうどちらにも戻らない」。呆けたような笑みを浮かべ窓辺に立つ。私と今カノ以上に病んでいた。彼が5階の窓から身を投げる。

35 246

デート中、彼のLINEが着信する。画面を覗くと元カノだ。「……あいつ、また病んでる」。行くんだね、と私は呟く。彼を奪った。元カノはそれが理由で心を病んだ。躊躇いつつも、彼が立ち去る。気が触れそうだ。彼はどっちを選ぶのだろう。LINEを開き、元カノと同じ言葉をタップする。もう死にたい、と。

31 234

「いい話と悪い話? じゃ悪い話から」と彼が言う。秘密で社内恋愛してる私の部下だ。君、来月支社異動。「うわ遠恋ですか……」。いい話も聞きなさい。私も同じ支社に移ります。「マジですか!?」。……もう一つ、良し悪しは君の気持ち次第なんだけど。「何でしょう?」。3か月、月の物がきてないの。

27 268

「いい話と悪い話、どっちから聞く?」。年上の女性上司に尋ねられた。1年前から誰にも秘密で交際している。悪い話、と僕は答えた。「君、来月人事異動」。遠くの支社だ。遠恋か。彼女は仕事が大好きだから、ついてきてとは言い出せない。「で、いい話」。はい……。「私も同じ。異動先でも上司です」

41 350

結局、事故死で処理された。海に浮かんだ男の遺体。一緒だった元カノは「知りません」と繰り返した。遺品のスマホは防水仕様。半年かけて彼女に何度もLINEを送る。亡霊だと怯えた彼女が「突き落としたの私です」と自白した。規律違反は承知の上。でも刑事の前に、私は姉だ。歳の離れた弟の、仇を討つ。

46 323

「元気?」。LINEの通知に総毛立つ。元カレだ。この半年、忘れた頃にトークが届く。怖くて逆にブロックできない。覚悟を決めて警察署に足を運ぶ。「ああ、半年前の」。女性刑事は私のことを覚えてた。亡霊から助けて下さい。聴取の嘘は謝ります。彼は事故死じゃありません。私が海に突き落としました。

43 290