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「君には高嶺の花と忠告したのに」。腐れ縁の女友達が笑ってる。焦がれた一軍女子は現役合格、僕は浪人確定だ。「恋するならば釣り合いって大事だよ」。身に染みた。とりあえず予備校のパンフ貰ってくる。ん? 何で恥じらいながらついてくるんだ? 「……だから、釣り合いが大事だって言ったよね?」
20歳の幼なじみとしてしまう。「異性と見てない」と言い合ってたのに、最近距離が縮んでた。「深刻にならないでよ。飲んでたし、お互い最初じゃないでしょ?」。お前ノンアルだったじゃん、と突っ込みかけ、こっちは悟られたかなと言葉を飲む。酔ってたのは本当だ。でも俺は、惚れたお前が最初なんだ❤
してしまった。幼なじみで20歳の彼も、私のベッドで気まずそうな顔してる。何よ、散々私を「異性と見てねえ」と言ってたくせに。「お前も俺を男扱いしてなかっただろ」。まあいいや。お互い最初じゃないでしょ? 独り身を慰め合い、酔った弾みにしておいて。「お前、何飲んでたっけ?」。ドライゼロ♥
多分今日だと死期を悟る。20歳で発病し、あっという間に進行した。私は主治医に頼んでみる。先生、明後日まで生かして下さい。命日が巡るたび、彼は私を思い出す。愛してるからこそ、死んだ私に捉われず、彼には先に進んでほしいんです。思われるのは4年に1度で構わない。今日はうるう年の2月27日。
同級生の彼女のことが大好きだった。一生一緒にいようと約束した。けれど20歳で発病し、彼女は空へ旅立った。「君は十分想ってくれた。いつまでも私に捉われないで」。彼女の声が心に響く。まだ4回目の命日だぞ。「ごめんね、変な日に死んじゃって」。いつしか僕は32歳になっていた。命日は2月29日。
古いマフラーが見つかった。不器用だった高校時代の初カノが、一生懸命編んでくれた。「そんなのとってあるんだ」。不機嫌そうに妻が言う。マフラーを奪い取り、目の前でほどかれた。ほつれもあるけど大切な思い出なのに。「妬けるし恥ずかしい」。そうかなあ。「あれから少しは上達したから編み直す」
兄みたいな先輩と、百貨店の屋上で観覧車に乗る。入試を終え、高校に来ていたところを私が誘った。西日に染まる街を見る。「俺、お前のことが……」と囁かれ、聞こえないふりをした。先輩が春から暮らす東京は、観覧車からも望めない。確かめて、距離にすくみ涙が滲む。先輩、あのね。私は恋を諦める。
後輩が観覧車から潤んだ瞳で街を見ている。久々に登校し、高校教師に入試結果を伝えた帰り、「百貨店の屋上で乗りませんか?」と誘われた。僕は春に上京する。妹みたいに感じてた。でももうそばにいられなくなる。「……先輩、あのね」。その先は僕が言うよ。兄妹ではなく、異性として接したい、って。
高校時代、初カレに捨てられた。心で繋がりたくて、キスも拒んでいたからだ。その後は無数の男と交わった。「想われるだけで幸せじゃない?」。女子高生に囁かれる。この潔癖さを私は悔いた。しちゃいなよ、と言いかけて、10年前の自分と話せるアプリを落とす。すぐに寝た男の誰とも私は全く続かない。
「そんな初恋続かないって」と彼女が笑う。ううん、想われるだけで幸せだよ。「永遠に? キスもせず?」。その先は不潔に感じる。「彼は満足しているの?」。体じゃなくて心が好きだと囁かれた。明日も高校だから、と会話を打ち切る。このアプリは本物だろうか。10年先の自分と話せる「未来トーカー」