掌編小説(140字)@単行本『ぼくと初音の夏休み』『ごめん。私、頑張れなかった。』発売さんのプロフィール画像

掌編小説(140字)@単行本『ぼくと初音の夏休み』『ごめん。私、頑張れなかった。』発売さんのイラストまとめ


本業は別分野の物書きです。140字小説集『ごめん。私、頑張れなかった。』(リベラル社)、長編『ぼくと初音の夏休み』(扶桑社)、縦読み漫画(原案)『とある溺愛のカタチ~掌編小説アンソロジー~』(ブックリスタスタジオWebほか各種サイトで配信)。リンクは固定ツイートご参照。創作系のお仕事はDM下さい。
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高校の苦手な女子に告られた。美人だけど鼻っ柱がめっちゃ強い。「そうかなぁ?」。押し切られ、内緒で交際してみたら、2人の時は乙女なデレだ。内弁慶に萌え死にする。教室で座ったまま、可愛いね、と言ってみる。「あ?」。激しいツンに、迂闊だったと悔やんでいると、机の下でそっと手を握られた。

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元カレと同窓会を抜け出す。10年前の高校時代、臆病で私は彼の求めを拒んだ。ホテルで「あれから恋愛してないの?」と確かめられる。ずっと心に君がいた。恥ずかしながら経験ない。「常夜灯つけていい?」。場数を踏んだ君と違って照れ臭いよ。「暗いと不安。初恋を引きずって、実は僕も初めてなんだ」

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「お互い子どもだったよね」。元カノがビール片手に苦笑した。高校の同窓会。好きだからしたいんだ、と僕が言い、わかってるけど怖いのよ、と彼女は拒んだ。「大人で恋愛すればそうなるのにね」。垢抜けさぞや経験したのだろう。切ない思いで俯く僕に、震えた声で彼女が囁く。「10年ぶりに恋愛したい」

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イヴにカフェで彼と会う。大学から交際9年。「臆病で待たせてごめん」。小箱を差し出す彼の顔が涙で滲む。私はそのまま店を出た。車が見える。臆病者は私の方だ。30歳までに結婚したい。何度か匂わせ、かわされて、自信をなくした。「決着つけた?」。10日前、突然求婚された。助手席から上司に頷く。

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「イヴに話があるの」と彼女が呟く。大学以来交際9年。お互い来年30歳だ。家庭的で優しい彼女に甘えてきた。これまで何度か匂わされ、気づかぬふりしてかわしてしまった。今度こそ、彼女ではなく僕がきちんと切り出すべきだね。冷えた体を抱き締め囁く。あのさ、僕から先に大事な話があるんだけれど。

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年末だからかママもパパも忙しい。最近いつもイライラしてる。仲良くしてね、と一人娘の私は願う。この間、小5の女子だけの授業中、「みんなご両親が深く愛し合って生まれたの」と先生が言っていた。サンタはいないと知っている。だからこそお願いした。ママ、パパ、クリスマスに弟か妹がほしいんだ。

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「サンタさん?」。夜、寝室のドアが不意に開く。小5の一人娘が寝ぼけまなこで立っていた。「ママとパパじゃない声がしたから」。私と夫は慌てつつ、来て下さいって仲良く頼んでいたんだよ、と取り繕う。「弟か妹ほしいって私のお願い、叶うかな?」。……うん、きっと。来秋ぐらいになりそうだけど。

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初恋相手を故郷に残し、大学で上京した。寂しさを埋められず、先輩とキスしてしまう。後ろめたくて連絡を断ってしまった。高校時代、田舎で彼と彗星を見た。「次の周期の10年後、またここで」。流星に祈る彼の言葉を思い出す。もうお互い無垢じゃない。来るはずないと思いつつ、帰郷の切符を予約する。

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街の外れで空を見上げた。彗星が流れ星を降らせてる。高校時代、初恋相手と星を見た。次の周期は10年後。また集まろう、と僕は言った。大学で距離ができ、何年も音信不通。来るわけないかと自嘲して、もう彼女を忘れたい、と星に祈る。「それ本音? ならば私は帰るけど」。背後から懐かしい声がした。

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弟に気づかれぬよう、高1校舎を偵察する。昨日、童顔・巨乳に恋する漫画を見てた。「可愛い。何組?」。私の胸をチラ見した、後輩男子に呼び止められる。いや私、高2で年上なんだけど。「マジすか!?」と謝られつつ考える。捜したけど漫画みたいな少女はいない。誰だ、お姉ちゃん子の弟を拗らせたの?

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