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「続きが気になる」。高1の娘が呟いた。見ると古い文庫が3冊。絶版だから古書をネットで買ったらしい。「パパ4巻ないかな」。ないよ。筆名のその作者、人気が出ず、食えなくて、3冊だけで筆を折った。「家族でもできたのかなぁ」。それには答えず、一人だけの読者のため、僕は17年ぶりに筆を執る。
高校の昼休み、彼女が運動部の男子に見とれてる。恥を知れ! 彼氏は俺だろ。「筋肉に反応しただけよ」。俺も自主練してる。「知ってるよ。好きなのは君だけだ」。なら証明してみろよ。彼女はその場で「うちの彼、腹筋もお尻も締まってまーす」と叫んだ。……恥じらえよ、俺らの進展バレバレじゃんか❤
食事を終え「結婚しよう」と彼が囁く。不規則な職業も変えるという。最後の仕事頑張って、と見送った。もっと早く言われたかった。昨日ボスに知らされた。会社員を装う彼は、敵対組織の殺し屋だと。迂闊な恋に涙が滲む。私は暗殺者を辞められない。そろそろ効果が出るはずだ。さっき食事に毒を混ぜた。
「お仕事頑張って」。食事し何も知らない彼女に見送られる。表向きは会社員だが本当の俺は殺し屋だ。遊びのつもりが恋に落ち、組織を抜けると決心した。最後まで失敗しないこと。ボスの条件は簡単だった。標的の写真を見せられる。敵対組織の暗殺者。俺は銃に弾を込める。彼女のことを殺せるだろうか。
再会は風俗の個室だった。高校時代の元カレが私に驚く。親の離婚で急に転居し10年。「あの時捜せず悪かった」と彼が俯く。私は微笑み服を脱ぎ、体を重ねた。「やめようぜ」。その躊躇いは憐憫だ。対価を得た私をむしろ傷つける。初めては彼だった。感傷を振り払い、最高のサービスをしようと私は思う。
上司に風俗へ連れていかれた。個室の女性に息を飲む。高校時代の元カノだ。親が離婚し突然消えた。捜せなかった後悔と感傷で涙ぐむ。「久々だね」と彼女は微笑み、服を脱ぐ。やめようぜ。僕がうめくと「料金払ったんだよね?」。そういうことじゃ……。「ならば私を貶めないで。誇りをもって働いてる」
泣いて彼女に詫びられる。「私は嘘つきだ」。5年前の高校時代、死ぬまで好きだ、同じでいろよ、と告白した。頷いたのに彼女は今、大学の先輩に恋してる。2年前、俺は事故死した。いいさ、お互い様だ。墓前の彼女に俺は二つ嘘をつく。幸せ掴め、と聞こえるように。死んでも好きだ、と聞こえぬように。
高校帰り、「死ぬまで好きだ。同じでいろよ」と告白された。頷く私を彼は強く抱きしめる。たった5年前なのに、約束を守れない。大学の先輩に惹かれてる。「いいさ、俺にも落ち度があった」。彼の声が聞こえた気がした。「それに、お前はちゃんと約束守ったよ」。2年前、事故死した彼の墓前で涙ぐむ。
一軍男子に迫られて、投げやりに私は頷く。別の同級生を好きだけど、告ってくれない。彼と一緒の高校帰り、コンビニで勇気を奮う。「一軍と明日ゲーム? 何のだよ?」。察してよ。これは準備。「棚に戻して。話がある」。やっと気づいて告ってくれるの? 「……俺が買う。ポッキーゲームして下さい」
「告るなら今日のうちだよ」。高校帰りのコンビニで、同級女子が微笑した。いやお前、単なる腐れ縁だし。「一軍男子とゲーム約束しちゃったんだよね」。え、何の? 「告る気ないなら関係ないじゃん」。あ、明日はその日か! レジに向かう彼女の腕をぎゅっと握る。話がある。まずはポッキー棚に戻せ。