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抱かれた時にハッキリした。夫の中に3人いる。奔放な青年と無垢な子ども。夫は2人に気づかない。両親に虐待されて育ったらしい。二つの別人格は自分を守るものなのだ。青年と終えた後、夫が戻り、浮気を疑い涙を流す。向けられた刃物を見つめ私は思う。せめて子どもに殺しの記憶が残りませんように。
気がつくと、寝室でママが刺されてた。僕に記憶はないけれど、多分パパが殺ったんだ。ママの浮気にパパは悩んでいたらしい。殺したいほど憎かったんだね。ママの自業自得だよ。そういやパパはどこだろう。また記憶が霞んできた。血に濡れた手で顎鬚をざらりと撫でる。子どもの僕の人格が、消えていく。
「こんなのが好きなんだ」。お袋に巨乳漫画を取り上げられる。許せ思春期なんだ。「大きな胸は歳とりゃしぼむよ。母さんもそうだった」。お袋、デカかったのか。真面目な顔して親父随分吸ったんだな……。「好きだったわねえ」。お袋、一緒に抗議しようぜ! 「三つ子の魂百までよ。吸ったのあんた!」
大型犬は彼によくなついてる。「可愛いだろ。雌なんだ」。高校の同級生。初めて家に招かれた。まだ交際2か月だからキスもお預け中だ。とはいえ、添い寝し彼を甘噛みしている犬を見て、嫉妬と怒りが込み上げる。あのさ、私も甘噛みしたいんだけど。「……いや、その表情ならお前絶対ガチ噛みするだろ」
猫が彼女にじゃれている。膝に寝転び、ぎゅっと彼女に抱き締められた。高校の同級生で交際2か月。まだキスもしていない。羨ましい。俺もお前んちの猫になりたい。「いいよ、なる?」。マジか! じゃ、まず胸の辺りでゴロゴロと……。「ちょっと待って」。何だよ今さら? 「飼い猫だからまず去勢❤」
17歳の幼なじみがBLにハマってる。「また大量にお腐施した」。腐女子め。リアルな可愛いものにも反応しろよ。「あ、仔猫。で、君はタチ?」。……もう黙って勉強しとけ。「ほーん。君より数学得意だし」。それは認める。宿題の掛け算の右辺と左辺、教えてくれ。「[攻め]×[受け]でしょ?」。はい落第。
息子の授業参観に遅刻する。パートから駆けてきた。ほかのママはみんなお洒落だ。クスクス笑う同級生を可愛い少女がたしなめる。母子家庭だし息子は私が守らなきゃ、と気負ってきた。息子と目が合い私は恥じる。もう小6。ママは少し力を抜くよ。君を大事な人はほかにもいる。少女が息子を見つめてる。
母ちゃんが遅刻した。小6の授業参観。パート先から来たのだろう。薄化粧でお洒落もしてない。教室に静かな笑いが広がった。「そういうの良くないよ」。学級委員が一喝し、笑いは止んだ。彼女に感謝し、振り向くと、母ちゃんが赤い顔で俯いている。父ちゃんは病死した。次は守る。僕が一生守り続ける。