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鴨志田一『青春ブタ野郎はマイスチューデントの夢を見ない』読了。それぞれの思惑が12月の街を駆け巡りクリスマスイブに向けて収束していく。やはりとびきりの青春群像劇、そして最高のヒロインと主人公。改めて全方位におすすめしたくなる完成度。新刊が出たこの機会にシリーズを一気読みしてほしい。
水鏡月聖『僕らは『読み』を間違える』読了。岡山の高校を舞台にささいなボタンの掛け違いからこじれていく人間模様を描いた青春小説。文学作品の解釈を交えながらピアノを弾く幽霊の謎や部室に残されていた暗号を解決していくミステリでもあり、特に後半の展開にグッと惹き込まれた。次巻も読みたい。
雨森たきび『負けヒロインが多すぎる!4』読了。天愛星、夢子、古都。3人の複雑な事情を紐解いた先に眠っていた、切ないほど美しい感情を目の前に胸が熱くなった。他の女子が絡むことで八奈見、焼塩、小鞠との関係も少しずつ変化していき青春群像劇としてもおもしろい。まだまだ続いてほしいシリーズ。
白井智之『ミステリー・オーバードーズ』読了。巨漢探偵の消失、常識はずれの異世界への転生。白井ワールドと呼ぶべき他に類を見ない発想の世界観とそれを組み込んだ論理展開が絶品。最後の最後でロジックの極北に到達できる「ディティクティブ・オーバードーズ」が素晴らしい。いろりには再登場希望。
『このライトノベルがすごい!2023』読了。ランキングやブックガイド、協力者票の内訳を中心に目を通した。このラノは読めば必ず読みたい本が増える、私のラノベ読書になくてはならない1冊。上位の作品が気になるのはもちろん、ジャンル別ガイドは見落としていた名作の宝庫。来年もたくさん読みたい。
村木美涼『箱とキツネと、パイナップル』読了。郊外の職場の近くに引っ越した新社会人の坂出君。新居のカスミ荘ではよく不思議なことが起こり……。全体に漂う薄気味悪さの元凶はどこにあったのか。すべての真相が明かされたとき意外さにしばらく言葉が出なかった。カスミ荘の住人たちにまた会いたい。
鯨井あめ『きらめきを落としても』読了。大学生たちの日常がほのかに、けれど劇的にきらめく瞬間を切り取った珠玉の短編集。全編を通して感情を溜めに溜めていちばん効果的な場所で爆発させる手腕が見事だ。「燃」がとりわけ好き。「言わなかったこと」も刺さった。鯨井作品のきらめきを追い続けたい。
十市社『滑らかな虹』読了。真実を教えられた児童たちの葛藤や彼女らを導く教師たちの逡巡がひどく繊細に描かれていて、あの頃の教室での感覚が生々しく蘇ってくる気がした。すべてが終わった後のことがたっぷりと語られる構成やよし。あやめが見惚れた滑らかな虹はきっと、またすぐに見られるだろう。
八目迷『琥珀の秋、0秒の旅』読了。時間が止まった世界を函館から東京までひたすら歩くロードノベル。反りの合わない少女とのボーイ・ミーツ・ガールでもある。麦野とあきらのとりとめのないやりとりや移り変わっていく心情がとても丁寧に描かれていて楽しい。2人の距離が近づくと私までうれしかった。
キム・チョヨプ『わたしたちが光の速さで進めないなら』読了。言葉の通じない生命体の記録、もうここにはいない誰かの感情。不可解なものへのアプローチを諦めずたゆまぬ挑戦を続ける人々の姿は切なくも美しかった。「館内紛失」がもっとも心に残っている。たとえデータでも、確かに繋がったのだろう。