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河野裕『さよならの言い方なんて知らない。7』読了。8月をループする街、架見崎での土地を巡る戦争はおそらくいよいよ終盤戦。今回の香屋歩の目的が分かったとき鳥肌が立った。詳しく説明すると魅力を削ぐことになってしまうのがもどかしい。今いちばん続きが読みたいシリーズ。もっと広まってほしい。
森晶麿『探偵は追憶を描かない』読了。後輩に絵を教えるだけだったはずが知らぬ間に大騒動に。始まりも終わりも見えない状況に手に汗握った。濱松蒼という男の言葉選び一つひとつにハッとさせられる。気にかける女性が多いのもむべなるかな。彼がこの先どう生きていくか気になる。私も絆されたらしい。
🎬天気の子
改めて好きな映画だと感じた。土砂降りだった天気が晴れに変わっていくだけで、なんだか泣きそうになる。私はやっぱり帆高の選択を肯定したいし、夏美や最後の須賀のように動ける大人でありたいと思う。初めて観たときよりもすべてがおもしろくて身体が熱くなった。この先何度でも観たい。
森晶麿『探偵は絵にならない』読了。消えた女を追いかけて浜松に戻ってきた売れない画家は絵の依頼を通して厄介事に巻き込まれていく。物語に潜む知性と色気が香りとなって文章に表出し、見事に酔わされた。見て見ぬふりをせざるを得ない男たちの話でもあったか。蒼とフオンの道が再び交わらんことを。
篠アキサト『楽園ノイズ1』読了。凛子編の山場である屋上の場面でやはり泣いてしまった。ここは紛れもない楽園ノイズの世界。凛子も真琴も華園先生も詩月もほんとうに美しい。とりわけ凛子の初登場カットが言葉を失うほど素晴らしかった。楽器や楽譜もすごく描き込まれていて細部まで見るのが楽しい。
相沢沙呼『invert II 覗き窓の死角』読了。中編と長編からなる贅沢な作品集。こうだろうと考えていた事件の全容がある一点で“反転“し、新たな構図が浮かび上がる瞬間の爆発的な驚きは、倒叙ミステリだからこそのもの。作者ならではの眼差しや遊び心が詰まった最高の一冊だった。翡翠の過去が気になる。
四季大雅『わたしはあなたの涙になりたい』読了。喪失に痛みを感じる少年と運命を鳴らせる少女の、出会いと別れのその先を描いた静謐な物語。特に後半の演奏シーンの優しく儚い美しさは圧巻だった。多くの要素を繋ぎ合わせなめらかな一編の小説にまとめ上げた手腕が見事。込めたい祈りが伝わってきた。
市川憂人『灰かぶりの夕海』読了。喪った恋人と瓜二つの少女の出現。恩師の亡き妻にそっくりな女性の死。ボーイ・ミーツ・ガールとミステリが横須賀の地で融和し驚きの真相へ突き進んでいく。巧みなサプライズと端正なロジックの先に待つ余韻はどこか切なかった。残された者の幸福の死者の冥福を祈る。
八重野統摩『ナイフを胸に抱きしめて』読了。法では裁けない相手に個人が罰を与える。“復讐”する者とされる者の心理を深く掘り下げ丁寧に描き切った傑作ミステリ。最後にタイトルの意味が分かったとき彼女の決断に息が詰まった。彼女たちはこれからどう生きるのだろう。十年後の物語を知りたくなった。
紙城境介『継母の連れ子が元カノだった9 プロポーズじゃ物足りない』読了。現実は努力の末に不器用さを克服して幸せを勝ち取った恋人たちのために、物語は真っ直ぐに突っ走ったけれど自分の気持ちすら確信できなかった天才のために。ラストシーンの美しさは筆舌に尽くしがたい。まるで祈りのような。